春茶の中でも、特に早い春、芽が出て直ぐに摘んだ一芯二葉から作られた古樹のお茶です。このような早春の古樹茶は、高価であることはもちろん、量が少なく、限られた一部の人のみが手にするお茶です。
日本では、木々の芽吹く時期を新緑の季節と表現しますが、芽吹いたばかりの緑は若々しい緑色です。それはほんの短い間、私たちの目を愉しませてくれます。

春の最初に出てくる葉の成長はゆっくりで、寒く乾燥した長い冬を耐え抜いて溜め込んでいた成分が詰まっています。その後は次第に気温が上がり、雨が降れば一気に色濃く大き成な葉が次々と芽吹きます。一般的には、それらを全て春茶と呼んでいます。

このお茶は、早春茶のみで作られており、春の降水量が著しく少ないシンチャイならではの濃厚さを備えています。茶の力・香り・茶湯の密度、そのどれもが十分なことからも、シンチャイの厳しい早春の環境を感じていただけるでしょう。柑橘のような香り、心地よい渋みとフルーティーな甘み、特殊な環境から生み出される独特の風味は唯一無二の魅力を持ちます。

また、この小さな村に住む少数民族の方々は、近年まで茶を利用していませんでした。その為、大きな大きな樹は、枝を切られることもなく、幹は空に向かいまっすぐに、太い根は地中深くへと伸びています。

道路が舗装されたのも、電気が使えるようになったのも、僅か数年前です。細い山道を登り、辿り着くこの山奥の村にも、近頃は中国からのバイヤーはもちろん、ベトナム国内からもバイヤーが訪れるようになりました。その為、上質なお茶を手に入れるのは容易ではありません。しかし、苦労してでも手に入れたくなるこの地ならではの早春茶独特の風味があります。一度口にすると忘れられないお茶に、そしてカラダが求める毎日飲みたいお茶となるでしょう。


何煎も淹れていても衰えることを知らず、２０煎ほどお愉しみいただけるシンチャイの早春茶です。